所有する喜びと風を切って走る爽快感が魅力の大型バイクですが、購入や乗り換えを検討する際に避けて通れないのが税金の問題です。
大型バイクの税金は一体いくらかかるのか、また、税金を含めた年間維持費がどの程度になるのか、具体的な金額が分からず計画を立てるのに不安を感じている方も少なくないはずです。
特にバイクの税金は、自動車とは異なる独自の区分けがあり、排気量によって種類や金額が複雑に変わるため、正確な知識を持っておくことが賢いバイクライフを送るための第一歩となります。
- 大型バイクにかかる税金の種類と具体的な金額
- 排気量や経過年数による税額の違い
- 税金の支払い時期やお得な売却タイミング
- 税金を含めた年間の総維持費の目安
知っておきたい大型バイクの税金の種類と金額

- バイクの排気量で税金は変わる
- バイクの自動車税は早見表で確認
- 年間の税金はいくらになるのか
- 税金以外に必須となる車検費用
- 維持費はきつい?費用の内訳を解説
バイクの排気量で税金は変わる
バイクを所有すると、「軽自動車税(種別割)」と「自動車重量税」という2種類の税金がかかります。しかし、すべてのバイクに両方の税金が課されるわけではありません。どの税金が、いくらかかるかは、エンジンの排気量によって明確に区分されています。
まず、軽自動車税(種別割)は、地方税法に基づき、毎年4月1日時点のバイク所有者に対して課される税金です。これは原付を含むすべてのバイクが対象となるため、バイクを持っているだけで必ず支払う義務が生じます。言わば、バイクの住民税のような位置づけの税金です。
次に、自動車重量税は、その名の通り重量に応じて課されるイメージが強いですが、バイクの場合は排気量によって課税の有無や金額が決定されます。この税金は、主に車検が必要な250ccを超えるバイク(小型二輪自動車)や、125cc超250cc以下のバイク(軽二輪自動車)の新規登録時にかかります。そのため、125cc以下の原付には課税されません。
税金の区分を正確に理解しよう
このように、バイクの税金は排気量が大きな判断基準となります。ご自身のバイク、あるいは購入を検討しているバイクがどの区分に該当するのかを最初に確認しておくことが、維持費を正確に把握するための最も重要なステップです。
バイクの自動車税は早見表で確認
バイクの維持費の中で、毎年必ず支払いが発生するのが軽自動車税(種別割)です。この税金は四輪自動車の「自動車税」に相当するものですが、バイクの場合は「軽自動車税」という名称で、管轄も市区町村となります。税額は排気量に応じて以下の表のように細かく定められています。
毎年5月上旬頃に、お住まいの市区町村から納付書が郵送されてきます。納付期限は原則として5月31日なので、忘れないようにカレンダーに印をつけておくと安心ですよ!
特に、この記事のテーマである大型バイク(道路運送車両法でいう二輪の小型自動車)は、最も高い税額である年間6,000円が課されます。
区分 | 排気量 | 税額(年間) |
---|---|---|
原動機付自転車 | 50cc以下 | 2,000円 |
原動機付自転車 | 50cc超~90cc以下 | 2,000円 |
原動機付自転車 | 90cc超~125cc以下 | 2,400円 |
二輪の軽自動車(軽二輪) | 125cc超~250cc以下 | 3,600円 |
二輪の小型自動車(小型二輪) | 250cc超 | 6,000円 |
(参照:総務省ウェブサイト「平成28年度から軽自動車税の税率が変わります」)
この税金は月割りの制度がないため、例えば4月2日にバイクを購入した場合でも、その年度の税金はかからず、翌年度から課税対象となります。逆に、4月1日に所有していると、たとえ4月2日に売却したとしても1年分を全額納付する必要があります。
年間の税金はいくらになるのか

次に、もう一つの税金である自動車重量税について詳しく見ていきましょう。この税金は、支払いタイミングが排気量によって異なり、大型バイク(250cc超)の場合、新車登録時(3年分)と、その後の車検ごと(2年分)にまとめて支払う必要があります。
自動車重量税の大きな特徴は、環境への配慮から、初度登録からの経過年数によって税額が上がっていく点です。「長く大切に乗る」という観点からは少し悩ましい制度ですが、長く乗るほど税金の負担が少しずつ増えていくことを覚えておく必要があります。
古いバイクは税負担が増加する
特に注意が必要なのは、登録から13年、そして18年を経過したタイミングです。この2つの節目で税額が段階的に引き上げられるため、中古で古い年式の大型バイクを購入する際は、デザインや価格だけでなく、この維持費の増加も考慮に入れることが重要なポイントになります。
具体的な税額は以下の通りです。
区分・排気量 | 登録からの経過年数 | 税額(年間) | 支払いタイミングと金額 |
---|---|---|---|
二輪の小型自動車(250cc超) | 12年まで | 1,900円 | 新車登録時: 5,700円 (3年分) 継続車検時: 3,800円 (2年分) |
13年~17年 | 2,300円 | 継続車検時: 4,600円 (2年分) | |
18年以上 | 2,500円 | 継続車検時: 5,000円 (2年分) |
つまり、登録12年以内の比較的新しい大型バイクであれば、年間の税金は軽自動車税6,000円と自動車重量税1,900円を合わせて、合計7,900円が税金としてかかる計算になります。これを高いと見るか安いと見るかは人それぞれですが、まずはこの金額が最低限かかるコストとして認識しておきましょう。
税金以外に必須となる車検費用

排気量が250ccを超えるすべてのバイクには、道路運送車両法に基づき、新車登録から3年後、以降は2年ごとに車検(継続検査)を受ける義務があります。公道を安全に走行するための重要な制度であり、この車検の際には、前述の自動車重量税や自賠責保険料といった「法定費用」の支払いが必要です。
車検費用は大きく分けて以下の3つの要素で構成されており、それぞれ内容が異なります。
車検費用の3つの構成要素
- 法定費用:自動車重量税、自賠責保険料、検査手数料(印紙代)など、国や保険会社に支払う法律で定められた費用です。どこで車検を受けても金額は一律です。
- 車検基本料:24ヶ月定期点検料や測定検査料、書類作成の代行手数料など、車検を依頼する業者に支払う手数料部分です。業者によって価格設定が大きく異なります。
- 整備費用:点検の結果、安全基準を満たすために交換が必要になった部品代やその交換工賃です。ブレーキパッドやタイヤ、オイルなどの消耗品の状態で大きく変動します。
一般的に、正規ディーラーや大手のバイク専門店に依頼した場合の車検費用の総額は、バイクの状態にもよりますが4万円から7万円程度が相場とされています。もちろん、大掛かりな整備が必要になれば10万円を超えるケースもあります。税金だけでなく、この2年に一度の大きな出費も維持費の大きな要素として計画に入れておく必要があります。
維持費はきつい?費用の内訳を解説
「大型バイクは維持費がきつい」というイメージを持つ方もいるかもしれませんが、それは税金や車検費用だけが理由ではありません。実際には、バイクを維持するために様々な費用がかかります。年間の総維持費をより正確に把握するために、主な内訳を具体的に確認しておきましょう。
大型バイクの年間維持費シミュレーション(一例)
費用項目 | 年間費用の目安 | 備考 |
---|---|---|
税金 | 約7,900円 | 軽自動車税6,000円+重量税1,900円(12年未満の場合) |
自賠責保険料 | 約4,380円 | 24ヶ月契約(8,760円)を年額換算 |
任意保険料 | 約30,000円~ | 年齢や等級、補償内容で大きく変動。20代はさらに高額に。 |
車検費用 | 約25,000円 | 2年で5万円かかった場合を年額換算 |
ガソリン代 | 約45,000円 | 年間5,000km走行、燃費20km/L、ガソリン180円/Lで計算 |
メンテナンス代 | 約30,000円~ | オイル交換(年2回)、タイヤ交換(2年に1回)など |
駐車場代 | 約60,000円~ | 月極5,000円の場合。都市部ではさらに高額。 |
合計 | 約202,280円~ | あくまで一例。乗り方や条件で変動します。 |
上記のように、すべての費用を合計すると、年間の維持費は20万円以上になることも珍しくありません。特に任意保険料は、万が一の事故に備えるために不可欠ですが、年齢や等級によって数万円から10万円以上と幅が広く、総額に大きく影響します。
購入前に、税金だけでなくトータルの維持費を具体的にシミュレーションしておくことが、後悔せず、安心してバイクライフを長く楽しむための秘訣ですよ。
大型バイクの税金の支払いと手続きに関する注意点

- 税金の管轄・どこで払うかを解説
- 税金を滞納してしまった場合のリスク
- バイク売却時に必要な税金の手続き
- 引っ越しに伴う住所変更手続き
税金の管轄・どこで払うかを解説
バイクにかかる2種類の税金は、それぞれ管轄する行政機関と支払い先が異なります。この違いを正確に理解しておかないと、いざという時の手続きの際に戸惑う可能性があるため、しっかり覚えておきましょう。
軽自動車税(種別割)
軽自動車税の管轄は、ナンバープレートを発行した市区町村の役所です。毎年4月1日時点の所有者に対し、5月上旬ごろに納税通知書が郵送されてきます。その納付書を使って、指定された納付期限(通常は5月末日)までに金融機関、郵便局、コンビニエンスストアなどで支払うのが一般的です。近年では、多くの自治体で利便性の高いクレジットカード払いやスマートフォン決済(PayPay、LINE Payなど)にも対応しています。
自動車重量税
一方、自動車重量税の管轄は国の機関である運輸支局です。この税金は、納税者が直接納付書で支払うのではなく、車検の際に他の法定費用とあわせて、車検業者や運輸支局の窓口で支払います。つまり、車検手続きの一環として、車検費用の中に含まれる形で納付することになります。そのため、車検さえ受けていれば払い忘れる心配はありません。
このように、軽自動車税は「年に1回、自宅に届く納付書で自分で支払う」、自動車重量税は「車検の時に車検業者を通じて支払う」と覚えておくと、仕組みが分かりやすく整理できます。
税金を滞納してしまった場合のリスク
軽自動車税の納付期限を万が一過ぎてしまうと、単に払い忘れたでは済まされない、様々なペナルティが発生するため、くれぐれも注意が必要です。もし支払いを忘れてしまった場合、法律に基づき、以下のような段階的な手続きが進められます。
- 督促状の送付:納付期限から約20日後に、役所から「督促状」という形で支払いを催促する通知が届きます。
- 延滞金の発生:納付期限の翌日から、実際に納め終わる日までの日数に応じて、法律で定められた利率の延滞金が加算されます。最初の1ヶ月とそれ以降で利率が変わる場合が多く、決して無視できない金額になります。
- 財産の差し押さえ:督促状を無視し続け、納税の意思がないと判断された場合、最終的には国税徴収法に基づき、預金口座や給与、さらにはバイク本体などの財産が強制的に差し押さえられる可能性があります。
車検が受けられなくなるという最大のリスク!
軽自動車税を滞納している状態では、納税証明書が発行されません。この納税証明書は車検を受ける際に必須の書類であるため、たとえ滞納分を支払ったとしても、証明書が手元に届くまで車検手続きを進めることができません。つまり、税金を支払わない限り、公道を走る資格を失ってしまうのです。
納税通知書は他の郵便物に紛れやすいため、届いたらすぐに開封し、期限内に支払う習慣をつけることが何よりも大切です。
バイク売却時に必要な税金の手続き

愛車を売却したり、友人に譲ったりして手放す際には、名義変更の手続きだけでなく、税金に関する非常に重要な手続きがあります。それが「税止め」と呼ばれる、軽自動車税の課税を止めるための手続きです。
前述の通り、軽自動車税は毎年4月1日時点の登録上の所有者に課税されます。そのため、例えば3月中にバイクを売却して手元から無くなったとしても、名義変更の手続きとあわせて税止めの手続きを確実に行わないと、翌年度の納税通知書が元の所有者であるあなたのもとに届いてしまうという深刻なトラブルが発生します。
バイク買取業者に売却した場合は、ほとんどのケースで業者が責任を持って代行してくれますが、念のため手続き完了の控えをもらうとより安心です。個人間で売買する際は、この手続きをどちらが行うか明確に取り決めておかないと、後々のトラブルの原因になります!
税金面で最も損をしない売却タイミングは、課税基準日である4月1日を迎える前の3月末までです。年度末は運輸支局が非常に混雑するため、余裕をもって3月中旬ごろまでには手続きを完了させるのが理想です。これを過ぎると、翌年度の軽自動車税6,000円を支払う義務が生じてしまいます。また、自動車重量税は車検時に前払いしているため還付制度はありませんが、車検の残り期間が査定額にプラスに影響することは少ないため、車検満了が近いタイミングで売却するのも賢い選択と言えるでしょう。
引っ越しに伴う住所変更手続き
引っ越しをして住所が変わった場合、市役所での住民票の異動手続きだけでなく、バイクの登録情報を変更する手続きも忘れずに行う必要があります。この手続きを怠ると、軽自動車税の納税通知書が旧住所に送付され続け、新しい住所に届かないため、気づかないうちに税金を滞納してしまうという、最も避けたい事態に陥る可能性があります。
手続きを行う場所は、バイクの排気量と、新しい住所がどの運輸支局の管轄になるかによって異なります。
排気量 | 手続き先 | 必要なもの(一例) |
---|---|---|
125cc以下 | 新住所の市区町村役所 | 標識交付証明書、ナンバープレート(市外からの転入の場合)、印鑑、本人確認書類 |
125cc超~250cc以下 | 新住所を管轄する運輸支局 | 軽自動車届出済証、住民票(発行から3ヶ月以内)、印鑑、軽自動車届出済証記入申請書 |
250cc超 | 自動車検査証(車検証)、住民票(発行から3ヶ月以内)、印鑑、申請書、手数料納付書 |
道路運送車両法では、登録情報に変更があった場合、その事由があった日から15日以内に手続きを行うことが義務付けられています。後回しにせず、引っ越しが落ち着いたらできるだけ速やかに手続きを進めましょう。
まとめ:大型バイクの税金を正しく理解しよう
この記事では、大型バイクにかかる税金の種類や具体的な金額、支払い方法、そしてそれに伴う重要な手続きについて、網羅的に解説しました。最後に、安全で経済的なバイクライフを送るための重要なポイントをリスト形式で振り返ります。
- 大型バイクにかかる税金は「軽自動車税」と「自動車重量税」の2種類
- 軽自動車税は排気量250cc超で年間6,000円が課税される
- 自動車重量税は登録12年までなら年間1,900円が目安
- 自動車重量税は登録から13年目と18年目で税額が上がるので注意
- 全ての税金は毎年4月1日時点の登録上の所有者に課税される
- 軽自動車税は毎年5月末までに自宅に届く納付書で支払う
- 自動車重量税は車検時に車検費用と合わせて2年分をまとめて支払う
- 排気量250cc超のバイクは2年ごとに車検が義務付けられている
- 車検費用は法定費用と整備費用などを含め4万円から7万円程度が相場
- 税金や保険料を含めた年間維持費は20万円以上になることも想定しておく
- 軽自動車税を滞納すると延滞金が発生し、最終的には財産差し押さえのリスクがある
- 納税証明書がないと車検が受けられないため、滞納は絶対に避けるべき
- バイクを売却・譲渡する際は名義変更と「税止め」の手続きが必須
- 税金面で最もお得な売却タイミングは年度末の3月中
- 引っ越しをしたら15日以内にバイクの登録住所変更手続きを必ず行う
- 住所変更を怠ると納税通知書が届かず、意図せず滞納してしまう危険がある
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