「現行モデルもスタイリッシュで素敵だけれど、やっぱりあの頃の荒々しい4気筒サウンドが忘れられない」
「ドラッグレーサーのような、無骨で男らしいスタイルに憧れるけれど、維持できるか不安」
今、検索エンジンで「エリミネーター400 旧型」と入力し、この記事にたどり着いたあなたは、きっとそんな熱い想いと現実的な悩みの狭間で揺れ動いているのではないでしょうか。1980年代後半、カワサキが世に放ったこの異端児は、GPZ直系の高回転エンジンをロー&ロングなアメリカン車体に強引なまでに詰め込んだ、まさに「公道のシグナルグランプリ」を制するためのマシンでした。
しかし、最終型でも製造から約30年が経過した今、購入に踏み切るには相当な覚悟と知識が必要です。「中古の値段や相場は適正なのか?」「故障しやすい持病はあるのか?」「もし壊れたら部品は手に入るのか?」といった不安が尽きないのも無理はありません。また、派生モデルであるSEやLXの細かな違い、カスタムの方向性やマフラー選び、そして実際のスペックや評判など、オーナーになる前に知っておくべき情報は山ほどあります。
この記事では、エリミネーター400旧型に魅せられ、その泥沼とも言える魅力にどっぷりと浸かった私が、その唯一無二の魅力から、購入前に知っておくべき現実的な維持費やトラブル対策まで、徹底的に深掘りしてお伝えします。一時の感情だけでなく、長く付き合える相棒として選ぶために、ぜひ最後までお付き合いください。
- 新型にはない4気筒エンジンの官能的な吹け上がりとドラッグスタイルの真髄がわかります
- 複雑で分かりにくい派生モデル(SE・LX)のデザインや装備の違いを明確に理解できます
- 購入前に必ずチェックすべき故障しやすいポイント(持病)と具体的な対策を学べます
- 現在の中古相場や、年間にかかる維持費のリアルな目安を知ることができます
目次
魅力あふれるエリミネーター400旧型の特徴

エリミネーター400旧型(ZL400)は、単なる移動手段としてのバイクではありません。それは、80年代というバイクブームの熱狂的な時代が生んだ、強烈な個性そのものです。「排除する者(Eliminator)」という攻撃的な名が示す通り、信号待ちからのダッシュで他を圧倒するために生まれたこのマシンの魅力を、多角的に、そしてマニアックに紐解いていきましょう。
新型と比較してわかるエンジンの違い
2023年に復活を果たし、大きな話題となった新型エリミネーター(400cc)。扱いやすくスタイリッシュな素晴らしいバイクですが、旧型を血眼になって探している私たちが求めているのは、現代の優等生的な乗り味ではなく、もっと原始的で、魂を揺さぶるようなエンジンの鼓動ではないでしょうか。その決定的な違いは、やはりエンジンの気筒数と出力特性にあります。
新型が並列2気筒エンジンを採用し、低中速からの豊かなトルクとパルス感を重視した現代的なセッティングであるのに対し、旧型エリミネーター400は水冷DOHC4バルブ並列4気筒エンジンを搭載しています。このエンジンは、当時の400cc最速を誇った名車「GPZ400R」のユニットをベースに、ドラッグレーサーらしい中低速加速重視のチューニングを施したものです。「中低速寄り」とは言え、その本質は紛れもなく高回転型のスポーツユニット。レッドゾーンである12,500回転付近まで一気に吹け上がるフィーリングは、2気筒では絶対に味わえない、マルチエンジン特有の快感です。
アクセルをガバっと開けた瞬間、「ヴォオオォン!」という重低音から始まり、回転上昇とともに「フォーン!」という甲高いジェットサウンドへと変化していく吸排気音。この音を聞くためだけにガソリンを燃やす価値があると断言できます。また、4気筒ならではの微細な振動(バイブレーション)も、ライダーの手足を通じて「機械を操っている」という実感を与えてくれます。
そしてもう一つ、新型との決定的な違いであり、旧型エリミネーターのアイデンティティとも言えるのが駆動方式です。新型が一般的なチェーンドライブであるのに対し、旧型はシャフトドライブを採用しています。シャフトドライブは、チェーンのような伸びや油汚れの心配がなく、基本的にメンテナンスフリーであるという実用上のメリットがありますが、魅力はそれだけではありません。
シャフトドライブ特有の「トルクリアクション」をご存知でしょうか? アクセルを急激に開けると、その反作用で車体全体がグッと持ち上がり、逆にアクセルを戻すと沈み込むという挙動です。コーナーリング中にはこの挙動がネガティブに働くこともありますが、直線を全開加速する際には「リアタイヤが路面を強く蹴り出し、車体がカタパルトから射出される」ような独特のダイレクト感を演出します。この荒削りな挙動こそが、エリミネーターを「鉄の馬」たらしめている要素なのです。
最高速や馬力などのスペック詳細
では、感情論だけでなく、客観的な数値データでそのポテンシャルを見てみましょう。旧型エリミネーター400のスペックは、現代の排ガス規制で牙を抜かれた400ccクラスと比較すると、驚くほどパワフルです。
【ZL400A 主要諸元(抜粋)】
| 型式 | ZL400A(初期型) |
| エンジン型式 | 水冷4ストロークDOHC4バルブ並列4気筒 |
| 総排気量 | 398cc |
| 最高出力 | 54ps / 12,000rpm |
| 最大トルク | 3.4kg-m / 10,500rpm |
| 乾燥重量 | 195kg(装備重量は約215kg前後) |
| 燃料タンク容量 | 13L |
| タイヤサイズ | フロント: 100/90-18 / リア: 150/80-15 |
特筆すべきは、やはり54馬力という最高出力です。当時の400ccクラスの自主規制値上限が59馬力であったことを考えると、アメリカンスタイルの車体としては異例の高出力と言えます。現代の現行車種(例えばNinja400など)が48馬力前後であることを踏まえれば、30年前のバイクがいかにハイパワーだったかが分かります。
このパワーを12,000回転という高回転で絞り出すため、ローギアでのフル加速は強烈です。タコメーターの針が跳ね上がると同時に、景色が後方へと飛び去っていく感覚は、まさに「シグナルグランプリの覇者」。最高速に関しても、カウルの有無や車両のコンディションに左右されますが、計算上および当時のテストデータでは180km/hのリミッター付近まで到達するポテンシャルを持っていました。もちろん、アップライトなポジションで風をまともに受けるため、ライダー自身の体力が先に限界を迎えますが、「出そうと思えば出せる」という余裕が、所有欲を満たしてくれます。
ただし、リアタイヤに採用されている15インチというサイズには注意が必要です。ドラッグレーサー感を演出する極太タイヤ(150/80-15)は迫力満点ですが、現在ではこのサイズに適合するタイヤの銘柄が非常に少なくなっています。IRC(井上ゴム工業)の「RS-310」などが定番の選択肢となりますが、最新のハイグリップタイヤなどを選ぶ余地はほとんどありません。このあたりも、旧車に乗る上での「愛すべき不便さ」と言えるでしょう。
ちなみに、400ccクラスのバイクが高速道路でどのような走行性能を発揮するのか、現代の視点での快適性や限界について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
派生モデルSEとLXの違いを解説

エリミネーター400旧型を探す際、多くのユーザーが直面する最初の壁が「モデルバリエーションの違い」です。中古車サイトを見ても、「SE」「LX」「無印」が混在しており、それぞれの違いが曖昧なまま選んでしまうと、後で「あっちのスタイルの方が良かった!」と後悔することになりかねません。ここでは、それぞれの特徴を明確に定義し、ターゲットとなる層を解説します。
| モデル名 | スタイル | 外観上の特徴 | こんな人におすすめ |
|---|---|---|---|
| 無印 (ZL400A) | ドラッグ | 1986年発売の初期型。カウル類がなく、最もシンプルで無駄のないデザイン。リアフェンダーの形状が特徴的。 | 飾り気のない「素」のデザインを好む人。カスタムベースとして自分色に染めたい人。ただし流通量は少なめ。 |
| SE (ZL400B) | スポーツ | Sports Edition。ビキニカウル、アンダーカウル、黒塗装エンジン、3本スポークのキャストホイールを装備。最もスパルタンな印象。 | 「ドラッグレーサー」としてのスタイルに惚れ込んだ人。走りの雰囲気と攻撃的なデザインを最優先する人。市場人気No.1。 |
| LX (ZL400C/D) | クラシック | Luxury。メッキパーツ多用、段付きのダブルシート、シーシーバー(バックレスト)、スポークホイール(後期はキャストもあり)。 | アメリカン(クルーザー)としての威風堂々とした雰囲気が好きな人。タンデム(二人乗り)をする機会が多い人。メッキの輝きを愛する人。 |
私が個人的に最もおすすめするのは、やはりSE(スポーツエディション)です。エリミネーター(排除者)という名前の響きに最もマッチしているのがこのモデルだと思います。小ぶりなビキニカウルと、エンジンの下部を覆うアンダーカウルが作り出すシルエットは、停止していても「速さ」を感じさせます。また、エンジンやマフラーがブラックアウトされている点も、硬派なイメージを強調しており、男心をくすぐります。
一方で、LX(ラグジュアリー)の魅力も見逃せません。こちらは打って変わってメッキパーツがふんだんに使われており、クラシックな高級感があります。特筆すべきはシート形状で、SEよりも肉厚で段差のあるシートを採用しているため、長距離ツーリングでの快適性はLXに軍配が上がります。また、シーシーバー(背もたれ)が標準装備されている車両も多く、パッセンジャー(同乗者)からの評価も高いモデルです。「走り屋的な雰囲気よりも、ゆったりと流す大人の不良」を気取りたいなら、LXが最高の相棒になるでしょう。
実際の評判やインプレを紹介
カタログスペックや外観の話だけでなく、実際に所有している、あるいは所有していたオーナーたちのリアルな声に耳を傾けてみましょう。ネット上の掲示板やSNS、そして私の周囲のエリミネーター乗りたちの意見を集約すると、以下のような傾向が見えてきます。
良い評判:所有欲を満たす「音」と「加速」
多くのオーナーが口を揃えて絶賛するのは、やはり「サウンド」です。「トンネルに入るとついついシフトダウンして回したくなる」「アイドリングの重低音から高回転の甲高い音への変化がたまらない」といった声が圧倒的です。現代のバイクは騒音規制によりどうしてもマイルドな音になりがちですが、この時代の4気筒は、法規制の範囲内(あるいは当時モノの社外マフラー)でも、心に響く音を奏でてくれます。
また、「シグナルダッシュでスクーターや車を置き去りにする瞬間が快感」という加速性能に対する評価も高く、重たい車体をもろともせずに加速させるトルク感は、多くのライダーを虜にしています。「遅いと言われるアメリカンだと思って舐めてかかってきたスポーツバイクを驚かせるのが楽しい」という、まさに「羊の皮を被った狼(見た目は狼ですが)」的な楽しみ方をしている人も多いようです。
悪い評判:避けて通れない「重さ」と「熱」
一方で、ネガティブな意見として多いのは、取り回しの悪さです。「乾燥重量195kg」は数値上そこまで重くないように見えますが、重心の位置や車体の長さ(ホイールベース)の影響で、押し歩きはズシリと重く感じます。「ちょっとそこのコンビニまで」といった気軽な使い方はしにくい、という声はよく聞かれます。
さらに、深刻なのが「熱対策」です。カワサキの水冷4気筒エンジンの宿命とも言えますが、夏場の渋滞などでは水温計の針がグングン上昇し、ラジエーターファンが回りっぱなしになります。そして、エンジンからの熱気がライダーの太ももを直撃するため、「夏は乗るのが修行」「内股が低温火傷しそうになる」という悲鳴にも似たインプレも少なくありません。それでもオーナーたちが降りないのは、その苦労を上書きして余りある「カッコよさ」があるからに他なりません。
おすすめのカスタムスタイル

ノーマルのままでも完成されたデザインを持つエリミネーター400ですが、カスタムを施すことで、より自分好みの「排除者」へと進化させることができます。ここでは、定番かつ人気のカスタムスタイルをいくつか紹介します。
【1. ドラッグスタイルの深化】
エリミネーターの王道です。ハンドルを純正のアップハンドルから、低く構えた「ドラッグバー」や「セパレートハンドル」に変更し、ステップを「バックステップ」化することで、前傾姿勢の攻撃的なポジションを作ります。さらに、リアサスペンションをショートタイプに交換してローダウンし、リアフェンダーとタイヤの隙間を埋めることで、より長く、低いシルエット(ロー&ロング)を強調します。
【2. ZRX足回り流用などのハードカスタム】
これは上級者向けですが、同じカワサキのZRX400などの足回りを移植するカスタムも存在します。フロントフォークやブレーキキャリパー、ホイールなどを最新(といっても90年代ですが)のものに換装することで、制動力や旋回性能を向上させます。ただし、シャフトドライブであるリア周りの加工は非常に難易度が高く、プロショップへの依頼が必須となります。
【3. ツアラー仕様(LX向け)】
LXをベースにするなら、大型のウインドスクリーン(風防)や、革製のサドルバッグを装着し、ハーレーのようなツアラー仕様にするのも渋いです。4気筒エンジンの余裕あるパワーと相まって、高速道路を使った長距離ツーリングも快適にこなせるようになります。
どのスタイルを選ぶにせよ、重要なのは「全体のバランス」です。特に旧車の場合、無理なカスタムは配線トラブルや走行性能の悪化を招くこともあるため、信頼できるショップと相談しながら進めることをおすすめします。
人気のマフラーと排気音
4気筒エンジンを楽しむ上で、マフラー選びは避けて通れない最重要項目です。純正の左右2本出しマフラーも、静かで重厚感があり、デザインのバランスも最高ですが、やはり社外マフラーに交換して、あの官能的な「フォーン!」というサウンドを解き放ちたいというのが人情でしょう。
当時モノとして、今でも絶大な人気を誇るのが「KERKER(カーカー)」のメガホンマフラーです。「カワサキと言えばKERKER」と言われるほどの鉄板の組み合わせで、低回転では「ドロドロ」とした腹に響く重低音を、高回転では突き抜けるようなレーシーなサウンドを奏でます。黒いメガホンタイプのサイレンサーは、エリミネーターSEのスタイルに完璧にマッチします。
もう一つの定番が「SUPERTRAPP(スーパートラップ)」です。お皿(ディスク)の枚数を調整することで、排圧と音量をコントロールできるのが特徴です。独特の形状は好みが分かれるところですが、4インチメガホンなどはドラッグスタイルとの相性が抜群です。
ただし、残念ながらこれらのマフラーは既に廃盤となっているものがほとんどで、新品で手に入れることは非常に困難です。ヤフオクやメルカリなどの中古市場で探すことになりますが、状態の良いものは高値で取引されています。また、購入の際は「JMCA認定(車検対応)」かどうかもしっかり確認しましょう。近年の騒音規制の取り締まりは厳しくなっており、爆音マフラーは車検に通らないだけでなく、近隣トラブルの原因にもなります。バッフル(消音器)を装着して適切な音量で楽しむのが、大人のライダーの嗜みです。
エリミネーター400旧型の中古購入と維持

ここまでは、エリミネーター400旧型の魅力ばかりを語ってきましたが、ここからは目を背けることのできない「現実」のお話です。30年以上前の工業製品を所有するということは、それ相応のリスクとコストを伴います。「欲しいけど、維持できるか不安」という方のために、現在の中古市場の動向や、避けては通れない故障のリスクについて、包み隠さずお話しします。
中古車の値段や相場の動向
昨今の旧車ブーム(ネオクラシックブーム)の影響を受け、Z1やZ2、GPZ900Rといった名車の価格が高騰しているのはご存知の通りですが、エリミネーター400もその波に飲み込まれつつあります。
大手中古車情報サイトのデータやオークション相場を見ると、現状(2025年時点)の相場感はおおよそ以下のようになっています。
- ベース車両・レストアベース: 30万円〜50万円
エンジンがかからない、外装がボロボロ、書類がないなどの「要整備」車両です。ご自身でエンジンをバラして組めるスキルがない限り、手を出してはいけません。 - 実働・並程度: 50万円〜80万円
一応エンジンはかかり、走る・曲がる・止まるはできる状態。しかし、タイヤが古かったり、フォークからオイルが漏れていたり、タンク内に錆があったりと、購入後に10万円〜20万円程度の整備費用がかかることを覚悟すべきゾーンです。 - 極上車・フルカスタム: 80万円〜100万円以上
専門店がきっちりと整備し、外装もリペイントされ、消耗品も交換済みの車両。あるいは、高価なカスタムパーツが多数装着された車両。初期投資は高いですが、結果的に最も安くつく場合が多いです。特に人気の「SE」の極上車は、100万円を超えるプライスが付くことも珍しくありません。
注意していただきたいのは、「安い車両には必ず理由がある」ということです。相場より安い車両を見つけたからといって飛びつくと、キャブレターのオーバーホール代、タイヤ交換代、電装系の修理代などで、結局は極上車が買えるほどの金額になってしまうことは、旧車界隈では「あるある」です。可能であれば、旧車に強いショップで購入し、しっかりとした納車整備(保証付き)を受けることを強くおすすめします。
よくある故障や持病の対策
「エリミネーター400は壊れますか?」と聞かれたら、私は正直に「はい、壊れます」と答えます。しかし、それは欠陥があるという意味ではなく、30年という歳月による経年劣化が主な原因です。特に、この車種で頻発する「持病」とも言えるトラブルを把握しておけば、パニックにならずに対処できます。
【エリミネーター400(ZL400)で覚悟すべき主要なトラブル】
- 電装系のパンク(レギュレーター・オルタネーター):
カワサキ旧車の宿命です。走行中に突然エンジンが止まる、ヘッドライトが異常に明るくなって切れる、といった症状が出たらレギュレーターの異常加熱(パンク)を疑ってください。 - ウォーターポンプからの水漏れ:
エンジン下部から冷却水(緑色の液体)が滴っていたら要注意。メカニカルシールの経年劣化が原因です。放置すると冷却水がエンジンオイルに混入し、オイルがコーヒー牛乳のように白濁する致命的なトラブルに繋がります。 - キャブレターのオーバーフロー・同調ズレ:
4連キャブレターは精密機械です。長期間乗らずに放置するとガソリンが腐って詰まり、オーバーフロー(ガソリン漏れ)を起こします。また、4つの気筒のバランス(同調)が狂うと、アイドリングが不安定になり、本来の加速性能が発揮できません。 - カムチェーンテンショナーのへたり:
エンジン右側から「ジャラジャラ」「カタカタ」という異音が聞こえ始めたら、カムチェーンの張りを調整するテンショナーのバネが弱っている可能性があります。
これらのトラブルは、所有していれば「いつかは必ず直面する道」だと思ってください。特にレギュレーターに関しては、純正品は熱を持ちやすい構造のため、対策品(MOSFET型など)に交換しておくのが現在のセオリーです。出先で止まってレッカーのお世話になる前に、納車整備の段階で「電装系は新品に交換してほしい」とオーダーするのも一つの賢い防衛策です。
純正部品の供給状況(2025年時点)
修理の話とセットで必ず確認しておかなければならないのが、部品の供給状況です。残酷な現実をお伝えしますが、エリミネーター400旧型の純正外装パーツ(タンク、サイドカバー、カウル、フェンダー)は、メーカー在庫がほぼ「廃盤(販売終了)」となっています。
もし立ちごけをしてカウルを割ってしまった場合、新品を取り寄せることはできません。ヤフオクやメルカリで、傷だらけの中古部品を高値で競り落とし、板金塗装屋さんに持ち込んで直してもらうしかないのです。これが「旧車に乗る」ということです。
【一筋の光:エンジンの部品はなんとかなる!】
外装パーツが絶望的な一方で、エンジン内部の消耗品(ガスケット、ピストンリング、バルブ周りなど)に関しては、まだ比較的入手しやすい状況です。これは、兄弟車である「GPZ400R」や「FX400R」、さらには「GPZ600R」などと多くの部品を共有しているおかげです。エンジンさえ元気なら、外装は工夫次第でなんとかなります。
年間にかかる維持費の目安

「車両価格はなんとか払えるけど、その後の維持費で破産しないか心配…」という方も多いでしょう。ここでは、エリミネーター400旧型を健全に維持していくために必要な年間コストをシミュレーションしてみます。
400ccクラス(小型二輪)は車検が必要なため、250ccクラスに比べると固定費は高くなります。さらに、初度登録から13年、18年と経過した旧車には、税金の重課(値上げ)が適用されることも忘れてはいけません。
| 項目 | 金額の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 軽自動車税 | 6,000円 / 年 | 毎年4月1日時点の所有者に課税。 (※初度登録から13年経過車の税額) |
| 重量税 | 5,000円 / 2年 | 車検時に支払い。 (※初度登録から18年経過車の税額) |
| 自賠責保険 | 約8,900円 / 2年 | 車検時に支払い。 (※24ヶ月契約の場合。保険料は改定される場合があります) |
| 車検費用 | 50,000円〜100,000円 / 2年 | 法定費用+整備代行手数料+点検整備費用。 旧車は交換部品が多くなりがちなので高めに見積もるべきです。 |
| 任意保険 | 30,000円〜 / 年 | 年齢・等級・補償内容による。 ロードサービス付帯は必須です。 |
| ガソリン代 | 実費(燃費15〜20km/L) | ハイオクを入れる必要はありませんが、洗浄剤入りのハイオクを好むオーナーもいます。 |
| 修理・メンテ積立 | 100,000円〜 / 年 | 【最重要】いつ何が壊れても良いように確保しておくべき予算。 |
表を見ていただくと分かる通り、税金や保険といった固定費だけなら、月々1万円程度で維持することは可能です。しかし、旧車ライフにおいて最も重要なのは、表の一番下にある「修理・メンテ積立」です。
「今年はタイヤ交換が必要だ」「車検のついでにフロントフォークをオーバーホールしよう」「キャブレターの調子が悪いからプロに見てもらおう」といった出費が、現行車よりも高い頻度で発生します。「ギリギリのローンを組んで車両を買ったから、整備に回すお金がない」という状態になると、調子の悪いバイクに乗り続けることになり、最終的には不動車になって手放す…という悲しい結末を迎えかねません。
維持費を抑えるコツは、日頃からこまめに点検し、トラブルを早期発見することです。また、オイル交換やチェーン清掃など、自分でできる軽整備を覚えることも、愛着が深まり節約にもなるのでおすすめです。
【車検費用に関する公式情報】
車検にかかる法定費用(重量税など)の正確な金額や仕組みについては、国土交通省の公式サイトでも確認できます。古いバイクの税額区分は複雑なので、一度目を通しておくと安心です。
(出典:国土交通省『自動車重量税額について』)
唯一無二のエリミネーター400旧型
ここまで、故障のリスクや部品供給の厳しさ、決して安くはない維持費について、あえて厳しめの現実をお伝えしてきました。「やっぱりやめておこうかな…」と少し不安になった方もいるかもしれません。
しかし、それでも私はあなたに、「それでもエリミネーター400に乗る価値はある」と強く伝えたいです。
今のバイクは非常に高性能で、壊れにくく、燃費も良く、誰が乗っても速く走れます。それは素晴らしいことですが、一方で「機械がライダーを制御している」ような感覚を覚えることもあります。しかし、エリミネーター400旧型は違います。
アクセルを開ければ、キャブレターが空気を吸い込む音が聞こえ、4つのピストンが爆発し、そのエネルギーがシャフトを通ってリアタイヤを蹴り出す。その一連のプロセスが、手に取るように分かります。重たい車体をねじ伏せるように曲がり、高回転サウンドに包まれながら直線を駆け抜けるとき、あなたは間違いなく「バイクを操る喜び」の原体験を味わうことになります。
GPZ直系の高回転型4気筒エンジンを、ドラッグスタイルの車体に搭載するなんていうクレイジーなパッケージングは、今後二度と発売されることはないでしょう。エリミネーター400旧型は、まさしく「絶滅危惧種」であり、日本のバイク史に残る遺産です。
もし、あなたの心に少しでも「乗ってみたい」という火種が残っているなら、ぜひ良心的なショップを探して、実車を見に行ってみてください。エンジンを掛け、そのサウンドを聴いた瞬間、維持の苦労など吹き飛んでしまうはずです。手間のかかる相棒ほど、愛おしい。そんなディープなバイクライフが、あなたを待っています。
さあ、覚悟を決めて、エリミネーター(排除者)となる準備はできましたか?

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