カワサキの人気ネオクラシックモデル、Z900RSカフェ。その流麗なフォルムに憧れを抱きつつも、「不人気」というネガティブな噂を耳にして、購入の一歩を踏み出せずにいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実際にZ900RSシリーズは、全国軽自動車協会連合会が発表する二輪車販売台数においても常に上位にランクインするほどの絶大な支持を得ています。ではなぜ、その派生モデルである「カフェ」にだけ不人気という声が上がるのでしょうか。
その背景を深く探ると、バイク自体の性能や魅力とは別の次元にある、特定のカラーリングに対する市場の評価や、オーナーだからこそ感じる特有の不満点などが複雑に絡み合っていることが見えてきます。
この記事では、それらの要因を一つひとつ丁寧に解き明かし、Z900RSカフェが本当に「不人気」なのか、その真相を徹底的に解明していきます。
- Z900RSカフェが一部で不人気と言われる客観的な理由
- 実際のオーナーレビューから見えてくるリアルな長所と短所
- カラーリングがリセールバリューに与える具体的な影響
- 購入後に後悔しないためのカスタムの方向性と賢い選び方のポイント
目次
Z900RSカフェ不人気の真相はカラーにある?

- 2025年版の不人気色ランキングを解説
- ユーザーから挙がっている具体的な不満点
- 中古市場での価格に与える影響とは
- 対照的にZ900RSの人気カラーを紹介
- 個性を出すならカスタムがおすすめ
2025年版の不人気色ランキングを解説
Z900RSカフェにまつわる「不人気」という評価の核心に迫ると、モデルそのものの資質ではなく、特定のカラーリングに対する市場の好みが大きく影響していることが分かります。どのカラーバリエーションもカワサキならではの個性を放っていますが、中古市場での流通量やSNS上のユーザー評価を総合的に分析すると、残念ながら一部に選ばれにくい「不人気色」が存在するのは事実です。ここでは、2025年の最新トレンドとして挙げられている不人気色のランキングと、なぜそれらが敬遠されがちなのか、その背景にある理由を深掘りして解説します。
順位 | カラー名 | 不人気とされる主な理由と背景 |
---|---|---|
第1位 | メタリックディアブロブラック×キャンディライムグリーン | カワサキのレーシングイメージを象徴するライムグリーンですが、ブラックとのコントラストが強烈で「街乗りには派手すぎる」と感じる層が多数。また、ウェアやカスタムパーツとのコーディネートが難しく、トータルでのスタイリングに高度なセンスが求められる点も、敬遠される一因です。 |
第2位 | メタリックスパークブラック | あらゆるバイクの定番色であるブラックですが、Z900RSの持つ「特別な一台」というイメージとは少し異なります。「没個性的」「他のバイクと見分けがつきにくい」と感じるファンが多く、あえてZ900RSで選ぶ理由が見出しにくいようです。艶のある黒は細かな洗車傷や汚れが目立ちやすいという実用面でのデメリットも指摘されています。 |
第3位 | イエロータイガー | 往年のZシリーズを彷彿とさせるカラーで一部の旧車ファンからは熱烈な支持がありますが、黄色という色自体が非常に好みの分かれるカラーです。「派手で落ち着かない」「長く乗るには飽きが来そう」といった意見に加え、ファッションと合わせにくいという現実的な問題もあります。 |
このように、一般的に不人気とされるカラーには「過度に派手で悪目立ちする」「個性が強すぎて乗り手を選ぶ」「Z900RSならではのヘリテージ感が薄い」といった共通の傾向が見受けられます。
しかし、これはあくまで最大公約数的な評価に過ぎません。これらのカラーリングは、一部の熱心なライダーからは「これぞカワサキの魂」「他にはないオリジナリティが最高」と絶賛されています。最終的には、周りの評価に流されることなく、ご自身の感性を信じることが何よりも重要です。人と被らない、自分だけの一台を求める方にとっては、これらのカラーはむしろ最高の選択肢となり得るのです。
不人気色=賢い選択肢になることも
見方を変えれば、不人気色は中古市場でお得に車両を手に入れる絶好のチャンスでもあります。同じ年式・走行距離であっても、人気色に比べて数万円から、時には10万円以上安く販売されているケースも珍しくありません。車両の性能やコンディションは全く同じですから、「カラーリングには強いこだわりはない」「浮いた予算で自分好みのカスタムを楽しみたい」と考える合理的なライダーにとって、これ以上ない賢い選択と言えるでしょう。
ユーザーから挙がっている具体的な不満点

カラーリングという嗜好性の高い問題とは別に、Z900RSカフェを所有するオーナーだからこそ分かる、実用面での具体的な不満点もいくつか報告されています。これらは乗り心地や日々の使い勝手に直接関わるため、デザインに惹かれて購入を決める前に、必ず把握しておくべき重要なチェックポイントです。
シートの硬さとお尻の痛み
オーナーレビューを分析すると、最も多く散見される不満の一つが、純正シートの硬さに起因するお尻の痛みです。
特にカフェのシートは、後端が盛り上がった特徴的な段付き形状でデザイン性を高めていますが、クッション性が犠牲になっている面は否めません。「30分の街乗りでも厳しい」「ツーリング後半は苦痛」といった切実な声は決して少なくなく、長距離の快適性を重視するライダーにとっては、看過できない問題となる可能性があります。
ステップの絶妙な位置
意外な盲点として、ノーマルのステップ位置も多くのオーナーから不満点として挙げられています。
停止時に足を地面に着こうとすると、ちょうどふくらはぎの内側にステップバーが当たってしまうのです。地味な点ですが、信号待ちの多い市街地走行では、この小さなストレスが積み重なっていきます。また、一部のユーザーからは「ステップがサイドスタンドの真上付近にあり、操作時に邪魔になる」という声もあり、日常的な使い勝手に影響を与えています。
スタイルと引き換えの積載性
Z900RSカフェの流麗でスリムなリアビューは最大の魅力ですが、それは積載性を完全に割り切ることで実現されています。
シート下のスペースは、標準装備のETC車載器と書類、そして小さな工具を収めれば一杯になります。日帰りツーリングでさえ、お土産や飲み物を入れるスペースはありません。そのため、多くのオーナーはデザインを崩さない小型のシートバッグや、クラシカルな雰囲気のサイドバッグを追加で装着していますが、理想のバッグを見つけるまでに試行錯誤を繰り返すことも多いようです。
購入前に知っておくべきその他の注意点
上記の3点に加えて、オーナーからは以下のようなリアルな声も寄せられています。
- 足つき性への懸念:スタンダードモデルより20mm高いシート高(820mm)は、特に小柄なライダーにとって大きな不安要素。立ちゴケのリスクを懸念する声は多いです。
- 独特なハンドルポジション:低く構えたカフェのハンドルはスポーティーな反面、長時間のライディングでは手首や肩、腰に負担が集中しやすいとの意見もあります。
- 限定的な風防効果:スタイリッシュなビキニカウルですが、高速道路などでの本格的な風防効果はあまり期待できません。あくまでデザイン上のアクセントと捉えるのが妥当です。
もっとも、これらの不満点の多くは、後述する豊富なカスタムパーツによって解決、あるいは緩和することが可能です。Z900RSカフェは、ある意味で「未完成」なバイクであり、「自分だけの理想の形に育てていくプロセスそのものを楽しむバイク」だと捉えるポジティブなオーナーが多いのも、このバイクが持つ奥深い魅力の表れと言えるでしょう。
中古市場での価格に与える影響とは
Z900RSシリーズは、その圧倒的な人気を背景に、中古市場においても非常に高い資産価値を維持しています。一般的にバイクは購入後の価格下落が大きいものですが、Z900RSは「リセールバリュー(再販価値)が極めて高いモデル」として広く認知されています。
しかし、その盤石な相場の中にあっても、カラーリングという要素が査定額を左右する重要な変数となるのは紛れもない事実です。
市場の原理として、需要の高いものが高値で取引されるのは当然のこと。「火の玉カラー」や「タイガーカラー」といった、カワサキの栄光の歴史を象徴するヘリテージカラーは、中古バイク市場でも常に高い需要があります。これらのカラーは「指名買い」されることも多く、供給が需要に追いつかないため、年式や走行距離の割に高値で取引される傾向が顕著です。
その一方で、先ほど不人気色の例として挙げた「メタリックディアブロブラック×キャンディライムグリーン」のような、時代のトレンドを色濃く反映した個性的なカラーは、どうしても買い手が限定されてしまいます。
そのため、中古車販売店は在庫リスクを考慮し、人気カラーよりも査定額を低めに設定せざるを得ないのです。売却時の査E額が、人気色と比べて10万円以上の差がつくことも決して珍しい話ではありません。
「いつかは乗り換える」という可能性が少しでもあるならば、このカラーによるリセールバリューの差は無視できない要素になります。
もちろん、何よりもご自身の「好き」という気持ちを優先すべきですが、資産価値という側面も考慮に入れるのであれば、市場で広く受け入れられている定番の人気カラーを選んでおくことが、将来的に後悔の少ない、賢明な判断と言えるでしょう。
対照的にZ900RSの人気カラーを紹介

市場には不人気色が存在する一方で、多くのライダーの心を掴んで離さない、まさに「王道」と呼ぶべき鉄板の人気カラーも存在します。
これらのカラーは、単に見た目が美しいだけでなく、高いリセールバリューを誇り、Z900RSが持つネオクラシックというジャンルの魅力を、最も象徴的に表現してくれるカラーリングと言えるでしょう。
キャンディトーングリーン(通称:青玉虫)
1973年に登場した伝説の名車、Z1の欧州仕様カラーを現代の塗装技術で蘇らせたカラーです。
深く、艶やかなグリーンのキャンディ塗装の下に、メタリックの粒子が輝き、光の当たる角度によって青や緑、時には金色にまで見える複雑な表情を見せます。その神秘的な色合いから「青玉虫」と呼ばれ、Z900RSのデビューを象徴するカラーとして、今なお根強い人気を誇ります。クラシカルな気品と現代的な質感を両立させた、まさに芸術品のようなカラーです。
メタリックディアブロブラック(通称:火の玉カラー)
バイクに詳しくない人でも一度は目にしたことがあるかもしれない、あまりにも有名な「火の玉カラー」。
こちらもZ1で採用され、その後のカワサキのイメージを決定づけた伝説的なグラフィックです。艶やかなブラックのタンクに、オレンジからブラウンへと変化する美しいグラデーションの火の玉が描かれています。このカラーリングは、単なるデザインを超え、一つの文化的なアイコンとして認識されており、中古市場ではプレミア価格で取引されることも少なくありません。
なぜこれらの人気カラーはライダーの心を惹きつけるのか?
これらの人気カラーに共通するのは、単なる色の組み合わせではなく、カワサキが世界に誇る伝説的モデル「Z1」や「Z2」が紡いできた栄光の歴史と、その世界観を色濃く受け継いでいるという点にあります。
現代のライダーがZ900RSに求めるのは、最新の技術に裏打ちされた高い走行性能だけではありません。彼らは同時に、かつてのZが持っていた圧倒的な存在感や、時代を切り拓いた反骨精神といった、数値では測れない”物語”を求めているのです。歴史的背景を持つカラーリングは、そうしたライダーの所有感を最大限に満たし、結果として揺るぎない人気と高い資産価値に繋がっているのです。
個性を出すならカスタムがおすすめ
Z900RSカフェが多くのライダーから愛される理由の一つに、驚くほど豊富なカスタムパーツの存在が挙げられます。
国内外の数多くのパーツメーカーが、Z900RSカフェ専用のパーツを開発・販売しており、その選択肢の多さは現行モデルの中でも群を抜いています。先ほど挙げたようなオーナーならではの不満点も、これらのパーツを組み合わせることで、自分だけの快適でスタイリッシュな一台へと昇華させることが可能です。
実際に多くのオーナーが実践している人気のカスタムメニューには、以下のようなものがあります。
人気のカスタムメニュー例
- シート交換:お尻の痛みや足つきの不安を解消する最も効果的なカスタム。ゲル素材を内蔵したコンフォートシートや、足つき性を考慮して先端が細く加工されたローダウンシートなど、目的や好みに応じて多様な製品から選べます。
- バックステップへの交換:ふくらはぎへの干渉を解消し、よりスポーティーなライディングポジションを実現します。ステップ位置を複数から選べる製品も多く、体格に合わせた微調整が可能です。見た目のメカニカルな印象も大きく向上します。
- ハンドル交換:カフェレーサー特有の前傾姿勢が身体に合わない場合、ハンドル位置を少し高く、あるいは手前に設定できるハンドルバーに交換することで、ツーリングでの快適性が劇的に改善されます。
- マフラー交換:ノーマルでも魅力的なサウンドですが、さらに迫力のある重低音や、レーシーな高音を求めるライダーの多くがマフラー交換を選択します。チタンやカーボンの採用による軽量化も大きなメリットです。
このように、Z900RSカフェは、購入した時点が完成形ではなく、オーナー自身が対話をしながら理想の一台を創り上げていく、まさに「素材」としての魅力に溢れたバイクなのです。
たとえ市場で不人気とされるカラーのモデルを選んだとしても、フェンダーやサイドカバーといった外装パーツを交換したり、思い切ってオールペン(全塗装)に挑戦したりすることで、世界に一台しか存在しない、あなただけのオリジナルマシンに仕上げることも夢ではありません。懐の深いベース車両だからこそ、カスタムの可能性は無限に広がっているのです。
Z900RSカフェ不人気説を覆す魅力と特徴

- オーナーが語るZ900RSカフェの長所
- Z900RSとの走りの違いを比較
- カウル外すカスタムはあり?なし?
- 足つきやポジションに関するレビュー
- 購入前に知っておきたいポイント
- 結論:Z900RSカフェ不人気は色の問題
オーナーが語るZ900RSカフェの長所
これまで不人気と言われる側面や不満点に焦点を当ててきましたが、Z900RSカフェのオーナーたちは、それらを補って余りあるほどの大きな魅力に深く満足しています。
数多くのオーナーレビューやインプレッションから見えてくる、Z900RSカフェが持つ本質的な長所、多くのライダーを虜にするその魅力の核心に迫ります。
Z900RSカフェが愛される4つの大きな魅力
- 排気量を忘れさせる驚異的な軽快感:レビューで最も賞賛されているのが、そのハンドリングです。948ccという大排気量エンジンを搭載しているにも関わらず、「まるで400ccクラスのよう」「250ccのようにひらひら曲がる」と評されるほどの軽快さを誇ります。これは、徹底したマス(重量)の集中化設計の賜物であり、街乗りからタイトなワインディングまで、ライダーの意のままにバイクを操る純粋な楽しさを提供してくれます。
- 所有欲を満たす唯一無二のスタイリング:伝説のZ1/Z2から受け継いだ美しいティアドロップ形状のフューエルタンクから、流れるように続くテールカウルまでの有機的なライン。そこに、70年代のカフェレーサースタイルを象徴するビキニカウルと段付きシートが見事に融合しています。懐かしさと新しさが同居するそのデザインは、ただの移動手段ではなく、眺めているだけで心が満たされる工芸品のような魅力を持っています。
- 計算され尽くした官能的な排気音:近年の厳しい排ガス・騒音規制をクリアしながら、カワサキの並列4気筒エンジンらしい、力強く官能的なエキゾーストサウンドを実現している点も高く評価されています。これは偶然の産物ではなく、開発段階で数え切れないほどの試行錯誤を重ねて「サウンドチューニング」が施された結果です。特に、エンジン回転数が3,000rpmを超えたあたりから奏でられる、楽器のようなサウンドは多くのライダーを魅了します。
- クラシカルな外観に秘められた先進技術:見た目はクラシックですが、中身は現代の最先端技術が投入されています。急ブレーキ時のタイヤロックを防ぐABSはもちろん、滑りやすい路面で後輪のスリップを抑制するKTRC(カワサキ・トラクション・コントロール)、そして料金所をスムーズに通過できるETC2.0車載器まで標準で装備。ライダーはノスタルジックな雰囲気を楽しみながら、現代のバイクが持つ高い安全性と快適性の恩恵を受けることができるのです。
特に、見た目の重厚感と、実際の乗り味との間に存在する良い意味での「ギャップ」は、多くのベテランライダーをも驚かせています。
かつてCB1300SFやXJR1300といった大排気量ネイキッドを乗り継いできたライダーたちから、「信じられないほど軽く、取り回しが楽」という驚嘆の声が数多く上がっています。この圧倒的な扱いやすさが、リターンライダーや初めて大型バイクの世界に足を踏み入れるライダーからも、絶大な支持を集める最大の理由となっているのです。
Z900RSとの走りの違いを比較

Z900RSカフェは、多くの部品を共有する兄弟車であるスタンダードのZ900RSに、ただビキニカウルを取り付けただけの安易なバリエーションモデルではありません。
低く設定されたハンドルと専用のシートがもたらすライディングポジションの違いは、走り出した瞬間に誰もが体感できるほど、明確なキャラクターの違いを生み出しています。
項目 | Z900RS CAFE | Z900RS (スタンダード) |
---|---|---|
ハンドル形状 | ローポジションハンドル(スワロータイプ) | ワイド&アップハンドル |
ライディングポジション | 適度な前傾姿勢(スポーティー) | 上体が起きたリラックスした姿勢(コンフォート) |
シート高 | 820mm | 800mm |
車両重量 | 217kg | 215kg |
メーカー希望小売価格(2025年モデル) | 1,518,000円 | 1,485,000円 |
得意なライディングシーン | ワインディング、スポーツ走行 | 市街地走行、ロングツーリング全般 |
(出典:カワサキモータースジャパン Z900RS/CAFE公式サイト)
上体が起きたリラックスした姿勢で、流れる景色をゆったりと楽しむのが得意なスタンダードのZ900RSに対し、Z900RSカフェは跨った瞬間に自然と体が前傾し、ライダーのスポーツマインドを昂らせるポジション設定となっています。
この前傾姿勢により、ライダーの重心がバイクの中心に近づき、フロントタイヤへの荷重も増すため、特にコーナーリング時にその真価を発揮します。ライダーが少し腰を落とし、体重を移動させるだけで、バイクが素直にスッと向きを変えてくれる感覚は、まさにライトウェイトスポーツのようです。
ブレーキングでフロントフォークを沈ませ、旋回し、コーナーの出口が見えたらスロットルを開けて力強く立ち上がる。この一連の動作すべてが心地よいリズムとなり、ライダーを「操る楽しさ」の虜にします。「バイク旅の快適性も大事だが、やはり峠道では積極的に走りを楽しみたい」と考える、欲張りなライダーの感性には、間違いなくカフェのほうが深くシンクロするはずです。
カウル外すカスタムはあり?なし?
Z900RSカフェを象徴するアイコンとも言えるビキニカウルですが、一部のユーザーからは「スタンダードモデルのシンプルな丸目一灯スタイルの方が好みだ」という声も聞かれます。
結論から述べると、技術的にはカウルを外し、スタンダードのZ900RSに近いネイキッドスタイルにカスタムすることは十分可能です。
しかし、そのカスタムを実践する前には、いくつかのメリットとデメリット、そして注意点を慎重に比較検討する必要があります。
カウルを外すメリット
- Z900RS(スタンダード)に近い、よりシンプルでオーソドックスなネイキッドスタイルを手に入れられる。
- ヘッドライト周りが軽快になり、カスタムの方向性によっては全く異なる印象のマシンに仕上げられる。
カウルを外すデメリット・注意点
- 「カフェ」というモデルの最大のアイデンティティを失うことになる。
- 単純にカウルを取り外すだけでは、カウルを固定していたステーや配線類が露出し、非常に不格好な仕上がりになる。
- 美しく仕上げるためには、スタンダードモデル用のヘッドライトステーやメーターカバーなどを別途購入・装着する必要があり、予想外の費用と手間がかかる。
- 車両の全幅や全高が変化するため、場合によっては管轄の運輸支局で構造変更の届出が必要になるケースも考えられる。
もしカウルのないスタイルに強く惹かれるのであれば、遠回りをせずに最初からスタンダードのZ900RSを購入するのが、最も合理的で満足度の高い選択だと考えます。
それでもなお、カフェをベースにネイキッド化したいという強いこだわりがあるのであれば、信頼できるカスタムショップに相談し、必要な部品や作業内容、そして法的な手続きについて、事前に詳細な見積もりと計画を立てることを強くお勧めします。
足つきやポジションに関するレビュー

購入を検討する上で、特にバイク初心者や小柄なライダーにとって最も気になるのが、足つき性でしょう。前述の通り、Z900RSカフェはスタンダードモデルと比較して、スペック上で20mm高い820mmのシート高に設定されています。
さらに、シート前方の幅が比較的広く絞り込みが少ないため、スペックの数値以上に足つきが悪く感じられる、という声も少なくありません。
身長170cmの標準的な体格のライダーが跨った場合、両足の母指球がしっかりと接地し、かかとは少し浮く状態になります。平坦な場所での扱いに不安はありませんが、少しでも傾斜のある場所や、路面が荒れている場所で停止する際には、慎重な操作が求められるかもしれません。
足つきの不安を解消する現実的な3つの方法
幸いにも、Z900RSカフェには足つきの不安を解消するための効果的な方法がいくつも用意されています。もしご自身の体格で不安を感じるようであれば、以下の方法を検討してみてください。
- スタンダードモデルの純正シートに流用交換する:最も手軽で、多くのオーナーが実践している定番の解決策です。これだけでシート高が20mm下がり、体感的にはそれ以上の安心感が得られます。デザインの親和性も高く、違和感のない仕上がりになります。
- 社外品のローダウンシートを導入する:国内外のパーツメーカーから、足つき性を重点的に改善したシートが数多く販売されています。シート内部のウレタンの角を落とす「アンコ抜き」が施されており、足を真っ直ぐ下ろしやすくなるため、数値以上に足つきが向上します。
- ローダウンキットを組み込む:リヤサスペンションのリンクプレートを交換し、車高そのものを物理的に下げる方法です。最も効果は大きいですが、サスペンションの特性やハンドリングが変化する可能性があるため、導入には専門的な知識と技術が必要です。
ライディングポジションについては、低く、やや幅広なハンドルによる適度な前傾姿勢が特徴です。
本格的なスーパースポーツモデルほど極端な前傾ではないため、街乗りや短距離のツーリングではスポーティーな雰囲気を楽しめます。しかし、長距離・長時間のライディングとなると、どうしても手首や肩、腰といった特定の部位に疲労が蓄積しやすいという声も聞かれます。これも慣れによるところが大きいですが、購入を決める前には、必ず販売店で実際に跨り、ハンドルに手を伸ばして、そのポジションがご自身の体格やライディングスタイルに合っているかをじっくりと確認することが不可欠です。
購入前に知っておきたいポイント
ここまでZ900RSカフェの様々な側面を解説してきましたが、最終的に「買ってよかった」と心から思える一台に出会うために、購入を決断する前に改めて確認しておきたい3つの重要なポイントをまとめました。
① 必ず実車に触れて、五感で確認する
カタログやインターネット上の画像、動画だけでは伝わらない情報が、実車には詰まっています。
特に、Z900RSカフェの魅力の大きな部分を占めるカラーリングは、光の当たり方でその表情を大きく変えます。メタリックの輝きやキャンディ塗装の深みは、屋外の太陽光の下で見て初めて、その本当の美しさを理解できます。また、エンジンをかけさせてもらい、そのサウンドや振動を肌で感じることも重要です。そして何より、実際に跨ってみて、ご自身の体格との相性(足つき、ポジション)を五感で確かめるプロセスを、決して省略しないでください。
② 自身の「乗り方の主軸」を明確にする
あなたがこれから手に入れるバイクで、何を一番楽しみたいのかを具体的にイメージしましょう。
- 仲間とのんびり景色を楽しみながら走る、長距離ツーリングが主役なら → Z900RS(スタンダード)
- タイトな峠道を、バイクと一体になって駆け抜けるスポーツ走行に喜びを感じるなら → Z900RSカフェ
もちろん、カフェでロングツーリングが不可能なわけではありませんし、スタンダードでスポーツ走行が楽しめないわけでもありません。しかし、それぞれのモデルには明確な「得意分野」が存在します。ご自身のライディングスタイルの主軸と、バイクのキャラクターを一致させることが、長く満足して乗り続けるための最も重要な鍵となります。
③ 「育てる楽しみ」の費用も念頭に置く
多くのレビューが示す通り、Z900RSカフェは、乗り手の不満点を解消し、好みを反映させるためのカスタムを施すことで、その真価を発揮するバイクと言えます。
もしあなたが、シートの硬さやステップの位置、足つき性などに少しでも懸念を抱いているのであれば、それらを解決するためのカスタム費用も、車両本体価格とは別にあらかじめ予算として計上しておくことをお勧めします。
Z900RSカフェは、「乗りながら自分仕様に育てていく」という、バイク本来の楽しみ方を存分に味わえる一台です。そのプロセス自体を楽しめるかどうかが、購入後の満足度を大きく左右するでしょう。
結論:Z900RSカフェ不人気は色の問題
この記事では、Z900RSカフェが一部で「不人気」と言われる理由から、それを遥かに凌駕する本質的な魅力、そして後悔しないための賢い選び方まで、多角的な視点から徹底的に解説してきました。最後に、本記事で最もお伝えしたかった要点を、改めて箇条書きでまとめます。
- Z900RSカフェというバイク自体の人気が低いわけではない
- 「不人気」という評価の主な原因は一部の好みが分かれるカラーリングに起因する
- 不人気とされるカラーはリセール面で不利だが中古車を安価に入手できるメリットもある
- 市場で絶大な人気を誇るのはZ1/Z2の歴史を受け継ぐヘリテージカラーである
- オーナーが実際に感じる不満点としてシートの硬さやステップ位置などが存在する
- しかしこれらの不満点は驚くほど豊富なカスタムパーツによって解消することが可能
- 最大の長所は900ccとは思えない軽快なハンドリングと所有欲を満たす美しいデザイン
- スタンダードモデルよりもスポーティーなワインディング走行を得意とする
- 低く構えたハンドルによる適度な前傾姿勢がそのキャラクターを決定づけている
- シート高は820mmとスタンダードより20mm高く足つきには注意が必要
- 足つきの不安はシート交換やローダウンキットなど現実的な対策で改善できる
- 購入を決める前には必ず実車でカラーリングとライディングポジションの確認を推奨
- 自身の主なライディングスタイルとバイクの得意分野が一致しているかを見極めることが重要
- 完成品を買うのではなく自分だけの一台に「育てていく」過程を楽しめるバイクである
- 結論としてZ900RSカフェが不人気という評価は主にカラーリング選択に起因する誤解と言える
コメント